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ぷらいべーと・たいむ

ぷらいべーと・たいむ

夢うつつ

 

ラッシュアワー

プラットホームは斜めに傾いていた。
線路に向かって滑り台のように傾いていた。
でも、みんな普通に立っている。
平気な顔して電車を待っている。

ぼくは線路にズルズル引き寄せられ滑り落ちそうになる
ぼくだけが滑り落ちそうになる
足に力をこめてどんなに踏ん張ってみても
ちゃんと立っていられない
一生懸命、腹ばいになって
ぼくはプラットホームにしがみつく
落ちないように必死でしがみつく

だけど、それよりも強い力が、ぼくを線路へ引っ張った
ぼくはズルッと滑り落ちた

眩しい光

ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン

電車がやってきた

 


 

横断歩道

広い広い横断歩道
信号は青だった
ぼくは渡った
すると信号はピカピカしだした
ぼくは走った
みんなも走った
だけど進まない
ぼくだけ前へ進めない
みんな、先々行ってしまう…
ぼくは必死で走った
だけど前へ進めない

赤になった信号
広い広い横断歩道のどまんなか
ひとり取り残されたぼく
車の波がやってきた

 


 

母と子

歩道橋
ぼくは、どうしても階段が上れない
お母さんは
ズンズンズンズン上っていってしまった
「まって」
言おうとしたが、声が出ない
やっと、お母さんが振り返ってくれた
「お母さん」
言おうとしたが、声が出ない
「はやく来なさい」
そう言うと
お母さんはくるりと背中を向けて
また
ズンズンズンズン上っていってしまった

ぼくは必死で追いかけた
お母さんの背中を追いかけた
だけど足が上がらない
階段に這いつくばって、よじのぼった
だけど、お母さんの背中はどんどん小さくなっていく

ふと横を見ると
手すりの間から、どす黒い海が見えた
次の瞬間
それは、黒い竜巻に変わった
グルグルグルグル
渦を巻いたその風は
ぼくをすごい勢いで吸いこもうとする
「まって、おかあさーん」
ぼくは必死で叫んだ
声が出たのかどうかは分らない
でも、お母さんの背中はもうなかった

そして、
黒い風が、ぼくを吸い込んだ

 


 

自由の空へ

マンションのベランダ
突き落とされたのだろうか
それとも
自分で飛び降りたのだろうか
ぼくは、地面に向かってまっさかさま

…おちる、おちる、おちる、…こわいっ

と、思ったら
ぼくは浮いていた
ふわふわぷかぷか浮いていた

あれっ、そっか、ぼくは飛べるんだった

そう思ったら
急にうれしくなった
ぐんぐんぐんぐん
上まで突っ切って、両手を広げて
自由に空を飛んだ

風がとっても気持ちよかった

 


 

夢からさめて

ハっとして目がさめた
一筋の涙がほほを伝った
泣いてたんだ…
でも、どんな夢だっけ
思い出せない
なんかとてつもなく悲しい夢
心がギュっとなった

でもよかった
夢でよかった
もう一回寝よう

今度はいい夢みれるかな

 


 



朝の光がさしこんだ
起きなきゃ、起きなきゃ
けれども、まぶたとまぶたが離れない
ほほがパリパリしている
ひりひりして痛い
頭もガンガンして重い
そうだ、思い出した
夕べは思いっきり泣いたんだった
泣いて、泣いて、泣いて
いつのまにか眠っていた

でも、なんでだろう
今はちっとも悲しくないや
鏡の前に走っていって
「ニッ」と笑ってみた
腫れた顔が笑っていた

変な顔

今日も一日頑張ろう

 


 



学校の教室
集団にいじめられている子供

私は寝ている。

突然、「助けて」という声が聞こえた。

どこにいるの? ねぇ、どこにいるの?
私は必死で探した。

はっとして、目がさめた。
ここは、どこ?
おばあちゃんの部屋だった。
そっか、夢か…

でも、その声は
10年経った今でも
心に焼き付いて離れない

 


 

しんきろう

ある日の夕暮れ
家には私一人
がらんとした部屋

玄関のドアを開けた
どんよりと曇った空
なまぬるい空気

「ハルマゲドンが来る」

突如、その思いが頭をよぎった
怖くて怖くて泣きそうになった

家には誰も居ない
母を捜しに近所を歩き回った

「お母さん、お母さん、どこにいるの?」

 


 

あれから

毎晩同じ夢をみてはうなされていたあの頃

あれから、月日は流れ
私は、夢を見なくなった

もう忘れてしまったよ
空の飛び方も
忘れてしまったよ

 




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